
試験の方法は何が違うのかな?
卒後の制限はあったりする?

- 地域枠入試の制度について
- 一般枠との違い
- 入試の種類
- 条件・難易度・倍率


筑波大学医学部の地域枠入試について
地域枠入試とは、医学部を卒業したあとに、医師不足地域で一定期間働くことを約束して受ける入試のことです。筑波大学医学部では推薦・一般の両方で地域枠入試が行われています。
一般枠と地域枠の違い
地域枠と一般枠の違いについてです。結論から言うと、地域枠で入学した学生は「茨城県地域医療医師修学資金貸与制度」への応募が必須です。
「茨城県地域医療医師修学資金貸与制度」とは、在学中に学費や生活費などのために茨城県がお金を貸してくれる制度です。筑波大学医学部に地域枠で受験する方は、必ず事前に申し込みする必要があります。
この制度を簡単に説明するならば、
といった感じです。茨城県の地域枠については、卒後の診療科の制限や貸与金の返済義務はありません。指定地域で働くことで、貸与金の返済が免除される形になります。
また、この制度は筑波大だけでなく他大の医学部でも実施があります。詳しい内容を表にしたので、参考にしてください。
((茨城県地域医療医師修学資金貸与制度のご案内を参考に作成)対象 | 筑波大学・東京医科大学・東京科学大学・帝京大学・順天堂大学・昭和大学・日本大学・獨協医科大学 |
貸与額 | 国立大:20万円/月 私立大:25万円/月 |
期間 | 最大6年間 |
貸与条件 | 県内対象:茨城県の高校の卒業者(見込みも可能)もしくは、茨城県に3年以上居住していること 全国対象:各大学の出願要件を満たしていること |
義務 | 1.制度の規定を遵守 2.研修会や個別面談への参加 3.医師免許取得後は、指定の医療機関で9年間勤務する (初期研修後の7年間のうち、4.5年は医師不足地域で勤務) →9年勤務すれば、貸与金の返還は免除 4.正当な理由な離脱しない |

より具体的な地域枠と一般枠の違いを入学前・在学中・卒業後に分けて解説していきます。
入学前の違い
地域枠で出願をする受験生は受験前に「茨城県地域医療医師修学資金貸与制度」に応募する必要があります。申し込みにあたって例年では、
- 400字の応募理由書
- e-learning
- 同意書・誓約書
などが必要になってきます。
また、合格後は受験前に申し込まなければならない、「茨城県地域医療医師修学資金貸与制度」の契約内容に従うということになります。
在学時の違い
在学時の違いとしては、地域枠の修学生は
- 地域枠のセミナーの参加義務
- 奨学金の貸与(月20万円)
があります。セミナーに無断欠席してしまうと、卒業後の就職に影響が出る可能性があるといるので、きちんと出席するようにしましょう。
セミナーでは、
- 茨城県の医療機関の紹介
- 研修医による症例発表
- グループディスカッション
など、将来茨城県で働く上で重要な話を、上級医の先生方からたくさんお伺いすることができます。
卒業後の違い
卒業後は、「茨城県地域医療医師修学資金貸与制度」に従って、臨床研修後に医師不足地域で4.5年間、合計で9年間を茨城県内の指定医療機関で勤務することになります。
地域枠を離脱した場合
地域枠を離脱した場合はどうなるのでしょうか。私の周りでも、
- 2回以上留年してしまった
- 医師国家試験に2回以上落ちてしまった
- 大学を退学・放校になってしまった
といった理由などで、地域枠を離脱になった例を見たことがありますが、その場合は貸与を受けていた修学資金を利子をつけて返済することになります。
私の知っている方だと最終的に25%もの利息がついていました。(貸与を受けた金額と年数によって変動)
また、医師になった後に離脱した場合でも、
- 不同意離脱者を採用した病院は、厚生労働省からの補助金を減額される場合がある
- 専門医の認定がなされない可能性がある
といったように厳しい対応を受ける可能性があり、地域枠の離脱は絶対に許されません。


地域枠入試の種類・定員
筑波大学医学部では、推薦入試・一般入試の両方で地域枠入試が実施されています。
推薦入試 | 23名 |
一般入試 | 県内対象:8名 全国対象:5名 |
2025年度入試から、一般入試の全国対象の定員が10名から5名となり、その分が推薦入試の定員として増えました。茨城県としても、県内出身者で地域で働く医師を残したい意図があると思われます。
また、推薦入試も一般入試も、試験内容は一般枠と全く同じです。「茨城県地域医療医師修学資金貸与制度」に応募するのみの違いしかありません。
筑波大学医学部地域枠の偏差値
筑波大学医学部の地域枠の偏差値としては63.0~67.0です。よく一般入試と同じくらいの偏差値と言われていますが、これは明らかに間違いだと考えています。
実際、合格者の成績を見ると地域枠で入学した学生の方が偏差値は低い傾向にあります。また、地域枠(特に全国枠)は定員・受験者が少なく、毎年の学力層の変動が大きいので、一概に偏差値を語るのは難しいです。
筑波大学医学部地域枠の倍率
筑波大学医学類の一般入試の地域枠の倍率は、茨城県地域枠が2.7~6.0倍、全国地域枠が3.4~9.0倍となっています。
全国地域枠がかなり高倍率なのは、茨城県地域枠の出願者は全国地域枠と併願という扱いになっているからです。また、一般よりも倍率が高いのは、地域枠では足切りが実施されないからです。
各年代の倍率の推移は次のようになっています。
茨城県地域枠の倍率推移
年度 | 募集定員 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
2020 | 9 | 38 | 14 | 2.7 |
2021 | 8 | 26 | 8 | 3.3 |
2022 | 8 | 29 | 8 | 3.6 |
2023 | 8 | 46 | 8 | 5.6 |
2024 | 8 | 48 | 8 | 6.0 |
全国地域枠の倍率推移
年度 | 募集定員 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
2020 | 10 | 17 | 5 | 3.4 |
2021 | 10 | 17 | 2 | 8.5 |
2022 | 10 | 6 | 1 | 6.0 |
2023 | 10 | 8 | 9 | 0.9 |
2024 | 10 | 18 | 2 | 9.0 |

筑波大学医学部地域枠の難易度
推薦入試(地域枠)の難易度
推薦入試の地域枠では、一般枠と試験問題は同じなので問題の難易度は変わりないです。一方で、入学難易度は一般枠よりも簡単な傾向があります。
筑紫会では、例年受験者と対象に開示点を独自調査していますが、地域枠の方が合格最低点はやや低いです。
一般入試(地域枠)の難易度
一般入試の地域枠も、一般枠と試験問題は同じなので問題の難易度は変わりないです。また、入学難易度は、茨城県地域枠では一般枠よりも簡単、全国地域枠では一般枠と同じかやや簡単な傾向にあります。
筑波大学医学部地域枠のボーダー
筑波大学医学部地域枠の共通テストボーダーですが、一般入試と同じでおよそ83~86%くらいになります。足切り(第一段階選抜)については、地域枠では実施されておらず、足切りラインはありません。
