
評定4.3なくても受験できるって本当かな?

- 推薦入試の概要・種類
- 出願条件・評定について
- 難易度・倍率・レベル
- 試験内容や対策法


筑波大学医学部の推薦入試の概要
筑波大学医学部の推薦入試の種類には
- 学校推薦型選抜
- 医学群医学類地域枠推薦
という2種類の推薦入試があります。なお、指定校推薦や総合型選抜(AO入試)などの実施はありません。
推薦入試の条件・評定
筑波大学医学部の推薦入試の募集条件(要件)や必要な評定についてですが、学校推薦型選抜では
- 評定平均4.3以上(学習成績概評A段階) または、筑波大学の個別学力検査等に合格できる程度以上の学力を有す
- 全教科がバランスよく優れており、英語及び理数系の能力が抜群
- 国際的な探究学習や国際交流に関する活動を通じ、国際的な素養を身に付けた者
となっています。したがって、要件の“いずれか”を満たせばいいので、筑波大学医学部の学校推薦型選抜において、評定は実は不要です。
過去には、条件1の「筑波大学の個別学力検査等に合格できる程度以上の学力」や条件2を使って合格を果たした受験生もいます。一方で、地域枠推薦では、
- 次の①,②のいずれかに該当
- 茨城県内の高等学校を卒業見込み、または卒業後1年以内
- 保護者が出願期間の最終日において茨城県に3年以上居住しており、県外の高等学校を卒業見込み、または卒業後1年以内
- 茨城県の地域医療に貢献する熱意と能力がある者
- 評定平均4.3以上(学習成績概評A段階) または、筑波大学の個別学力検査等に合格できる程度以上の学力を有す
- 全教科がバランスよく優れており、英語及び理数系の能力が抜群
- 茨城県が実施する修学資金貸与制度に応募する者
となっており、評定4.3以上が必要です。また、地域枠推薦は浪人生も一浪までなら受験可能です。
また、上記の出願条件を満たしていても、出席日数や成績が理由で学校から推薦をもらえないケースもありますので注意しましょう。


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推薦入試の募集定員
筑波大学医学部の推薦入試の募集定員ですが、学校推薦型選抜で44名、医学群医学類地域枠推薦で23名です。
医学群医学類地域枠推薦の定員は2024年度入試まで18名でしたが、2025年度入試より募集定員が5名追加されています。
推薦入試の必要書類
筑波大学医学部の推薦入試では下記の書類等が必要です。志望理由書は面接でも使われるので、きちんと準備しましょう。大学のカリキュラムに関するミスがかなり多く見られます。
書類名 | 備考 | |
---|---|---|
1 | 入学志願票 | – |
2 | 推薦書 | – |
3 | 調査書 | – |
4 | 写真票 | – |
5 | 志望の動機 | 600字以内で自筆 |
6 | 活動報告書 | 推薦要件(3)での出願する場合のみ提出 |
7 | 英語検定の成績証明書 | 該当者のみ |
8 | 茨城県が作成した調査書 | 地域枠推薦のみ |
9 | 住民票 | 地域枠推薦のみ |
推薦入試の日程・合格発表日
筑波大学医学部の推薦入試ですが、例年次のような日程で試験や合格発表が行われています。
出願締切日 | 11月初旬 |
試験日 | 11月末(11/28,29など) |
合格発表日 | 12月中旬(12/13など) |
成績開示日 | 4月下旬 |
推薦入試は難しい?難易度・レベル
筑波大学医学部推薦の難易度
推薦入試の難易度ですが、全体的な試験問題の難しさとしては難しいと言えます。各科目の例年の難易度としては次の通りです。
数学 | 易しい〜やや難しい |
英語 | 難しい |
化学 | 普通〜やや難しい |
物理 | 易しい〜やや難しい |
生物 | やや難しい〜難しい |
全科目において筑波大学前期試験の試験問題より難しい出題です。試験では、教科書から逸脱した範囲からの出題も見られています。
一般と推薦どちらが難しいか
筑波大学医学部の一般入試と推薦入試では、どちらの方が合格難易度が高いのでしょうか。結論、一概には言えないと考えています。
倍率だけを比較すると推薦入試の方が倍率は高いですが、これは一般入試では足切りが実施されるためであり、倍率で難易度を比較するのは適切とはいえません。
一方で、推薦入試は特殊な出題傾向なため、きちんと対策している受験生が合格している印象です。実際、推薦入試の方がより低い偏差値でも合格しています。

筑波大学医学部推薦のレベル
筑波大学医学部の推薦入試のレベルとしては、防衛医科大や地方の単科医科大と同じくらいのレベルだと言えます。
受験者層のレベルとしては、筑波大学前期試験の学力層より上の学力層も下の学力層も受験します。過去実際にいたパターンしては、
- 筑波大より上位の学部を目指せるレベルがあったが、受験回数を増やしたく筑波大を受験し合格したので進学した。
- 筑波大の推薦入試で失敗してしまったがその後、より高偏差値の医学部に進学した(東京科学・京都府立医科など)
- 筑波大が第一志望で推薦を受験し、不合格だったが前期試験で合格した。
- 私大専願だったが、受験科目的に医学類の推薦を受けられるのでチャレンジした。
- 筑波大に見合う実力がなかったが、受験回数を増やせるので受験した。
といったように、様々なレベルの受験生が筑波大医学部の推薦入試を受験します。
筑波大学医学部推薦の偏差値
筑波大学医学部の推薦入試の偏差値ですが、63.0~67.0くらいといえます。一般入試と比較するとやや低く、各予備校の偏差値で表すならば、
駿台模試 64.0~66.0
東進模試 67.0~69.0
といったところでしょうか。推薦の偏差値は模試では出ないので、あくまでも目安になります。
筑波大学医学部推薦の倍率
筑波大学医学部の推薦入試の倍率は、一般枠が4.2~5.8倍、地域枠が3.5~5.2倍で推移しています。 過去10年の倍率は次のようになっています。
学校推薦型選抜の倍率
年度 | 募集定員 | 受験者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
2015 | 36 | 188 | 5.2 |
2016 | 36 | 200 | 5.6 |
2017 | 36 | 197 | 5.3 |
2018 | 36 | 164 | 4.6 |
2019 | 36 | 163 | 4.5 |
2020 | 44 | 187 | 4.2 |
2021 | 44 | 213 | 4.6 |
2022 | 44 | 220 | 5.0 |
2023 | 44 | 231 | 5.2 |
2024 | 44 | 254 | 5.8 |
地域枠推薦の倍率
年度 | 募集定員 | 受験者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
2015 | 22 | 81 | 3.7 |
2016 | 22 | 77 | 3.5 |
2017 | 22 | 80 | 3.6 |
2018 | 17 | 70 | 4.1 |
2019 | 22 | 85 | 3.9 |
2020 | 17 | 88 | 5.2 |
2021 | 18 | 64 | 3.6 |
2022 | 18 | 69 | 3.8 |
2023 | 18 | 68 | 3.8 |
2024 | 18 | 78 | 4.3 |
筑波大学医学部推薦に合格した高校
<筑波大学医学部推薦入試の合格者の出身高校ですが、北から南まで様々な高校があります。例として、筑紫会の指導で合格実績のある高校を挙げます。
(*公式LINEでの無料相談のみの利用者様は含んでいません)(五十音順・一部のみ掲載)
筑波大学医学部の推薦入試の試験内容
名称 | 内容 | 時間 |
---|---|---|
小論文Ⅰ | 英語・数学 | 120分 |
小論文Ⅱ | 理科(化物生から2科目選択) | 120分 |
適性試験 | 適性試験⑴(SCTテスト) 適性試験⑵(面接) | ⑴60分 ⑵10~20分 |
筑波大学医学部の推薦入試の試験では、小論文と適性試験という試験が実施されます。これは学校推薦型選抜も地域枠も全く同じ内容です。
なお、共通テストは課せられておらず、共通テストがないというのも、筑波大学医学部の推薦入試の特徴の1つです。
また、小論文については名前こそ“小論文”という名前ですが、内容としては一般的な作文形式の問題ではなく普通の学科試験になります。
小論文の試験時間は120分で行われます。2科目で120分ですから、時間配分を考えながら解いていく必要があります。
推薦入試の配点・合格最低点
筑波大学医学部の推薦入試の配点は非公開です。ただし、試験後受験生には点数開示があり合計点・満点のみ知らされます。
同様に、合格最低点も非公開です。そのような事情から、筑紫会では例年の受験生の自己採点データからおおよその配点と合格最低点を調査しています。


筑波大学医学部の推薦入試の傾向
筑波大学医学部の推薦入試はどのような傾向なのでしょうか。全体を通して推薦入試の問題は変わった問題が多い傾向です。
科目によって傾向の強い、弱いはありますが、
- 大昔の過去問と同じ題材の出題がされる
- 直近の出題分野の類題が出る
- 例年、選択肢の並びに規則性がある
- 編入試験の類題や全く同じ問題が出る
という傾向もあります。また、小論文試験では過去に
- 大学入学後に授業でやる実験からの出題
- 大学レベルの内容
- ノーベル賞を受賞した内容
- 医療や検査と関連した内容
などを題材にしている問題も出題されています。それでは、以下で各科目ごとの出題傾向を解説していきます。

・合格者が作った予想問題
・適性試験の合格者の回答
・10年以上の出題分析表
・統計分野の解説講義
・医療・科学系単語リスト
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英語の傾向
大問2つからなり、医療科学系の分野の難易度が高い長文が出題される。例年は空所補充・整序・正誤問題が毎年出題されている。専門用語には注釈がつかない場合も多く、医療系単語の対策は必須。
数学の傾向
数学は例年大問3つからなり、中〜上級レベルの問題からなる。確実に取れるものも数問あるので、絶対に落とさないこと。近年は大学数学を題材にした出題が多い。
傾向として、前年度の問題と似た問題が出題されることが多いので、過去問の類題などに取り組んでおくと良い。
化学の傾向
大問3つからなり、無機・理論・有機の順番。無機は1つの属番号についての出題が多く、有機は高分子化学も出題される。
全体的に、大昔の過去問の内容が出題されるケース、編入試験の問題と同じ問題が出題されるケースがある。他にも、過去には大学入学後にやる実験内容が出題されたケースもあった。
また、過去には気体定数が与えられないといったような不親切問題もみられた。そういったケースの対策もきちんと行っていくのが望ましい。
物理の傾向
大問2つからなり、ほとんどの年代で片方は力学が出題される。昔は数値計算がある出題もあったが近年減少傾向にある。
近年、記述問題の出題がみられる。原理原則をきちんと理解して学習することが望まれる。
過去には、推薦入試、編入試験で出題された問題と全く図が出題されたことがあったので余裕があれば対策していきたいところ。
生物の傾向
大問3つからなる。分野としては、血液・筋肉・ホルモン・遺伝子・免疫の出題が多い。
題材となる実験では、大学入学後に授業でやる実験、ノーベル賞受賞内容、医学と関連した内容などがみられ、特に近年はノーベル賞受賞内容の出題が増えている。

筑波大学医学部推薦の対策
筑波大学医学部推薦の対策として、どのような勉強をすれば良いのでしょうか。合格者が実際にやっていた対策法を各科目ごとに紹介します。
英語の対策
医療科学系の超長文に慣れる練習が必要不可欠。日頃から1000語前後の長文を読んで体力作りをしたい。同じような傾向の問題はあまり存在しないため、まずは過去問をできるだけ多くの年度解いて演習を重ねる。
最初から解ける受験生の方が少ないので、諦めずに空所補充・整序・正誤問題などの頻出分野ではどのようなことが問われるかを分析していく。
参考書としては、やっておきたい英語長文1000(河合出版)などがおすすめで、私立や単科医科大学の過去問なども物によっては練習になる。長文中の専門用語には、注釈がつかない場合が多く、医療科学系単語は必ず覚えて試験に臨もう。

数学の対策
数学は確実に取れなくてはいけない簡単な問題と、難易度が高い差がつく問題に分けられる。確実に取れなくてはいけない問題は、不定積分や求値計算、極限など数Ⅲ分野が多く、レベルとしてはFocus Goldなどの網羅系参考書で十分対応できる。
一方、難易度が高い差がつく問題はきちんと元の題材から知った方が理解が深まる。数学に限らず、筑波大医学部の推薦入試は過去問からの出題がよく見られ、過去問を解いたらその類題は必ず演習すべきである。
参考書のレベルとしては1対1対応の演習(東京出版)や重要問題集(数研出版)などが適しているが、前述の通り各大問の難易度に幅があるため、これらを完璧にするというよりかは、類題を探す辞書がわりとして活用するのがおすすめ。


化学の対策
全体を通して無機→理論→有機という問題構成はずっと変わらないので、過去問をできるだけ解くことで、問題形式に慣れること。
大問1の無機に関しては、1つの族について問われる形式が多いため、族ごとに覚えていくと良い。教科書を端まできちんと読むことがとても大事。また、化学の新研究(三省堂)なども活用して深い知識をつけたい。
大問2の理論は出題分野に偏りが多く、過去問をきちんと分析しながら対策するのが望ましい。難易度はそこまで高くは無く、むしろ標準的な問題が多いため、重要問題集(数研出版)などで十分対策可能。
大問3の有機化学は高分子の分野からの出題が多いので、そこまで範囲を終わらせることが重要。高分子の分野は日常生活で使われているものも多く、題材になりやすいので、大学の過去問なども利用して、記述対策もしたい。

物理の対策
他の科目に比べると難易度としては簡単であり、良問の風(河合出版)レベルである。しかし、筑波大学受験後の他大学の受験なども考慮すると演習は名門の森まではやりたい。
過去には原子分野の出題も見られており、出題があった場合は必ず差がつくのできちんと対策すること。2024年度入試からは、記述問題の出題が見られており教科書に戻って、現象の本質からきちんと理解するような学習が求められる。
生物の対策
各大問は空所補充、小問、記述問題の構成からなることが多く、全体的にかなり難易度が高いので空所補充はなるべく落としたくない。きちんと教科書レベルの用語を抑えること。
問題集としては、重要問題集(数研出版)や大森徹の最強問題集159問(文英堂)がおすすめ。しかし、出題分野にはかなり偏りがあるため、推薦対策として解くなら、血液・筋肉・ホルモン・遺伝子などの頻出分野のみで良い。
過去にはノーベル賞や医療の内容との関連も問われているので、資料集などを参考に対策したい。医療分野では「現在臨床的に実施可能な方法について説明しなさい」といったような問われ方もされている。
近年は、実験内容の結果を説明、読み取りさせる問題も増えており過去問や私立医学部の入試問題等を使って演習を重ねよう。有名実験などは多くの医学部で何度も出題されることも多く、解いて損はない。
筑波大医学部推薦入試の過去問
筑波大医学部推薦入試のの過去問については、筑波大学のHPにて4年分閲覧することができます。しかし、英語については著作権の関係で文章にモザイクがかかっており見れません。
これ以外のものについては、フリマサイトなどで手に入れる方も多いです。繰り返しですが、医学類の推薦入試は直近の過去問、大昔の過去問が出題される傾向があり分析・対策は必須です。

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推薦入試の適性試験(適性検査)
筑波大学医学部の推薦入試の適性試験(適性検査)では、適性試験⑴と適性試験⑵が実施されます。
適性試験⑴ | SCTテスト |
適性試験⑵ | 面接 |
なお、例年の状況では面接でのMMIの実施はありません。
推薦入試における英検活用
筑波大学医学部の推薦入試では英語資格が総合点に反映されます。その条件としては、CEFR(セファール)でC1以上です。
これは、実用英語技能検定(英検)だと英検CSEスコア2600~3299に該当します。これは、英検1級レベルに該当します。
その他、英語資格・検定のC1基準を下記に掲載します。
資格・検定名 | C1以上に必要なスコア |
---|---|
実用英語技能検定 | 2600以上 |
ケンブリッジ英語検定 | 180以上 |
GTEC | 1350以上 |
ILETS | 7.0以上 |
TEAP | 375以上 |
TEAP CBT | 800以上 |
TOEFL iBT | 95以上 |
TOIEC L&R/TOIEC S&W | 1845以上 |

やっぱり1級持ってないと不利なのかな・・・?